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田窪一世さん (8txkpkff)2023/8/15 12:29削除お返事遅くなってしまい申し訳ありません。記事自体は公演直後にすでに読ませて頂いていたのですが、こちらにご投稿されるのを待っているうちに失念しておりました。失礼致しました。
桑原さんのご感想を拝読していていつも思うことがあります。それは僕が「送信」したものを誰よりも多く深く「受信」してくださっているなということです。毎回、ひとり感心し唸っております。
現代は一億総評論家時代です。誰もが送信手段を持ち、自分の意見を発信し、ある投稿記事の真意をたいして確かめもせずにコメントします。そんな無神経な意見はネットに溢れかえっています。
僕がその兆候を最初に感じたのは、さだまさし氏「関白宣言」が大ヒットした時です。当時、世間は歌の歌詞に男尊女卑だの女性蔑視だの過剰反応しました。ただひたすら妻を愛している不器用な男の心情を綴っているだけの詩なのに。
演技にも「送信」と「受信」があります。台詞を喋ることが送信。相手の台詞を聞くことが受信ですが、日本のドラマはほぼ送信主体の演技ばかりです。ジェットコースターのようなスピードで物語は展開しエンターテイメントを満載して視聴者を楽しませてはくれます。見終えたあと「面白かった」という印象は残るけれども、心の底に蓄積はされません。
僕たちは約3か月かけて戯曲から何を受信し、相手役から何を受信するかにこだわった上で、お客様に何を「送信」するかを七顛八倒しながら吟味します。まだまだ志半ばですが、その作業はやっかいでしんどくて、でもとても楽しい作業です。そうやって産み出した舞台をお客様に受け止めていただけることはまさに役者冥利に尽きるというものです。
これからも桑原さんにしっかり受け止めて頂けて、心の底に蓄積して貰えるような舞台を目指して行きたいと思います。